【アルコールはカビに効かない】消毒用エタノールや除菌ティッシュの非常識な落とし穴

「アルコールで拭けばカビも安心」――そう思っていませんか？
実はそれ、大きな勘違いです。アルコール（エタノール）は確かに細菌やウイルスには効果的ですが、カビに対してはほとんど効きません。むしろ拭き方によっては胞子を広げ、状況を悪化させてしまうことすらあります。

アルコール（エタノール）は、細菌やウイルスに対しては「細胞膜やタンパク質を壊す」ことで消毒効果を発揮します。
しかし、カビ（真菌）は細菌とは構造が異なり、厚くて強靭な細胞壁（キチン質やグルカン）を持っています。

そのため、アルコールを吹きかけても表面が一瞬乾燥するだけで、カビの根（菌糸）までは届きません。つまり、見た目が少しキレイになったように見えても、根は生き残り、再び繁殖してしまうのです。

【もう少しだけ解説】
科学的に見たアルコールとカビの関係

・エタノールは細菌やウイルスには有効だが、カビ（真菌）には不十分
・細菌やウイルスは「細胞膜やタンパク質を変性させる」ことで失活する。
・カビは胞子壁（細胞壁）が非常に強固で、エタノールが浸透しにくい。
・そのため、消毒用エタノールで擦っても「表面の一部菌糸が死ぬ程度」で、胞子までは死なない。

芽胞（胞子）はアルコール耐性が高い

・カビの胞子は乾燥・熱・薬剤に強い。
・病院感染対策の世界でも「アルコールは芽胞（耐久性のある胞子）に無効」とされている。
・つまり、アルコール＝除菌止まりで、防カビ（発育抑止）効果はゼロ。

色素や菌糸は残る

・アルコールで拭いても黒いシミ（色素）は残る。
・さらに、根を張った菌糸までは届かないため、数日～数週間で再発。
・実際、内装職人が「アルコールで拭いたからOK」としても、次の梅雨にはカビが戻ってくる。

研究・文献でも不適格とされている

・厚労省や感染制御学の教科書でも「アルコールは真菌（特に胞子）には効果が低い」と明記されている。

「消毒用エタノール」と「アルコール消毒」という言葉を混同している人は多いですが、どちらも基本は同じエタノール製品です。
ただし、殺菌力が持続するわけではなく、一瞬乾燥している間だけ効果があるにすぎません。注射前の皮膚消毒をイメージすると分かりやすいでしょう。

【もう少しだけ解説】

・消毒用エタノール＝76.9〜81.4vol％のエタノール
・アルコール消毒＝広義には同じ扱いだが、医薬部外品・雑貨レベルなどカテゴリが違う
・一般の人は「一緒でしょ？」と考えるが、 使用目的も効果も違います

市販の除菌ティッシュにはアルコールが含まれているものが多く、カビを拭くと一時的に表面が乾いて黒ずみが薄れることもあります。
しかし、これは根を殺しているわけではなく、むしろ拭き取る過程で胞子を広範囲に広げてしまうリスクがあります。

アルコールでのカビ掃除は、まるで「草むしりで葉っぱだけ取って根が残る」のと同じです。
一見きれいになったように見えても、根が残っているため必ずまた生えてきます。
カビはわずかな根を残すと再発する微生物（真菌）なのです。

カビの胞子は湿気と温度が整えばすぐに活動を再開します。
アルコールで一時的に表面を乾燥させても、湿気が戻ればあっという間に復活。結局、繰り返し悩まされることになります。

海外ではカビ対策にアルコールを使うことはほとんどなく、専用のカビ取り剤が広く利用されています。
日本のように「アルコールで済ませる文化」が根強いのは珍しく、むしろそれがカビ問題を長引かせている大きな原因ともいえます。

アルコールや除菌ティッシュは手軽ですが、カビには効果がなく、むしろ逆効果になることもあります。
本当に再発を防ぐには、根まで対処できる 防カビ工事 が必要です。

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