断熱しても、結露は止まりません ― コンクリート直張り壁紙で起きやすい勘違い ―
2025/12/19
「断熱すれば結露は止まる」
そう思われている方は、実はとても多いです。
最近では、DIYで断熱材を貼ったり、
リフォームで断熱工事を行ったりするケースも増えています。
確かに、部屋は暖かくなります。
冷暖房効率も良くなるでしょう。
しかし――
それで結露が止まるかというと、話は別です。
📷写真は、左が中古マンションで見られる
壁内に断熱材が無い壁に使用される断熱材付き石膏ボードです。
(厚みがあるのが分かります)
右は、コンクリート直張り下地に、防カビ
工事後直接貼り、結露抑止が可能な結露対策用シートです。
(薄いのが分かります)
断熱工事の本来の目的
断熱工事の目的は、とてもシンプルです。
・室内の熱を逃がしにくくする
・外気温の影響を受けにくくする
・部屋を「暖かく感じさせる」
ここまでは、正しい考え方です。
ただし、
「暖かくなる=結露が止まる」ではありません。
結露が発生する本当の理由
結露は、次の条件が重なったときに発生します。
・温度差
・湿気(水蒸気)
・表面温度が露点以下になること
【露点以下とは】
空気中の水蒸気が冷やされて水滴(露や霧)になり始める温度のこと。
お部屋の室温が20℃で湿度50%あると、
9℃以下の場所に接触すると空気中に
含まれる水蒸気(気体)➡結露(液体)
に変化する現象を言います。
つまり、
湿気と温度差が存在する限り、結露は形を変えて発生します。
断熱しても、
・結露がゼロになる
・結露が完全に消える
わけではないのです。
アルミサッシが結露するのは、
この露点温度がポイントになります。
コンクリート直張り壁紙が特に難しい理由
コンクリート直張り壁紙の部屋では、
この問題がより顕著に現れます。
・下地がコンクリート
・湿気の逃げ場が少ない
・冬場は外気温の影響を強く受ける
この状態で断熱材を追加すると、
結露の位置が移動するだけ
というケースが非常に多く見られます。
見えない壁紙裏や下地側で、
カビが進行してしまうことも珍しくありません。
スタイロフォーム系断熱材について
スタイロフォーム系の断熱材は、
本来「断熱」を目的とした材料で、
断熱材付き石膏ボードや断熱材付き合板
などの製品があります。
・部屋は暖かく感じる
・冷暖房効率は向上する
しかし――
結露対策が主目的の材料ではありません。
特にコンクリート直張り壁紙の場合、
・部屋が確実に狭くなる
・断熱=結露対策と誤解されやすい
・見えない場所でカビが進行するリスク
こうした問題が起こりやすくなります。
📷写真は、断熱材付き石膏ボードを断熱材
の無いコンクリート躯体に
コンクリートボンドで圧着しているところです。
断熱工事と結露対策は「別物」です
ここが一番大切なポイントです。
部屋は暖かくなるかもしれない。
しかし、それは結露対策にはなりません。
断熱と結露対策は、
目的も、考え方も、施工方法も別物です。
コンクリート直張り壁紙の結露対策で重要なこと
コンクリート直張り壁紙では、
・結露の発生位置
・湿気の逃げ道
・壁紙裏・下地側の環境
これらを同時に考えなければ、
カビの再発を防ぐことはできません。
そのため、
結露を抑えるための専用対策 が必要になります。
📷写真は、コンクリート直張り下地の天井と梁に直接結露対策用シート貼りをしているところ。
前段階で防カビ工事を行っています。
(プレモ防カビ結露対策工事)
まとめ
・断熱しても結露は止まらない
・暖かさと結露対策は別の話
・特にコンクリート直張り壁紙は要注意
・構造に合った対策を選ばないと、カビは再発する
・防カビ工事を行った上で断熱・結露対策をしましょう
結露やカビでお困りの方は、
「断熱すれば何とかなる」と考える前に、
一度立ち止まって考えてみてください。
----------------------------------------------------------------------
有限会社プレモ
〒362-0062
埼玉県上尾市泉台3-17-28
電話番号 : 048-793-7148(担当:山田)
----------------------------------------------------------------------



