エアコンを上げても寒い部屋の正体|夏は冷えず、冬は結露する理由
2025/12/20
エアコンを上げても寒い…それは設備の問題ではありません
朝の情報番組などで
「冬でも室温は18℃以上、できれば20℃以上に」
という話を耳にすることが増えました。
人の健康を考えれば、確かに正しい情報です。
ところが、築古マンションや団地のような
集合住宅では、こんな声をよく聞きます。
・暖房を上げても、なかなか暖まらない
・夏もエアコンを強くしているのに冷えにくい
・それなのに、冬になると結露やシミが出る
この状態、エアコンの性能不足ではありません。
多くの場合、建物の構造が原因です。
夏に冷えない部屋は、冬も暖まりにくい
実際にご相談を受けたのは、
築年数の経ったマンションや団地がほとんどです。
特徴として多いのが、
・コンクリート直張り天井
・梁や梁下がコンクリート下地や断熱不足
・旧公団仕様の断熱材付き合板
コンクリートは、非常に大きな蓄熱体です。
夏は外の熱を、冬は外の冷えを、
ゆっくりと室内に伝えてきます。
そのため、
・空気は暖めても
・壁・天井・梁が熱を奪い続ける
結果として、
設定温度のわりに体感が悪い部屋 になります。
これが、カビ臭を呼ぶ原因 にもなります。
📷写真は、コンクリート下地の天井と梁の結露が滴り落ち
壁紙にカビを繁殖させている様子です。
コンクリート直張り壁紙は熱を奪い、結露を繁殖させます。
部屋で生活する人にとっては苦痛でしかありません。
暖房を使うほど増える「湿気」と冷えた構造体
冬に暖房を使うと、
・呼吸
・調理
・入浴
・生活水蒸気
によって、室内の湿気は確実に増えます。
一方で、
・外壁側の壁
・天井スラブ
・梁・柱型
は、外気の影響で冷えたまま。
この 温度差 によって起きるのが、
ヒートブリッジ(熱橋)による結露 です。
黒カビより先に出る“オレンジ色のサイン”
この段階で最初に出るのは、
いわゆる黒カビではありません。
多くの現場で最初に確認できるのは、
・天井や壁の角
・梁下
・ビス位置
に出る、オレンジ色の点状跡 です。
これは汚れではなく、
結露した水分によって金属部が錆びた痕跡。
つまり、
すでに結露は始まっている
というサインです。
📷写真は、和光市のヒートブリッジによる錆び
断熱しているはずなのに起きる理由
「断熱材が入っているのに、なぜ結露するのか」
そう疑問に思われる方も多いと思います。
築古マンションで多い断熱仕様は、
・断熱材が薄い
・連続していない
・梁や柱型との取り合いで欠損がある
というケースがほとんどです。
その結果、
・夏は冷えにくい
・冬は暖まりにくい
・それでも結露は起きる
という、住む人にとって厳しい環境が生まれます。
📷写真は、結露しカビが止まらないコンクリート梁
などの防カビ工事です。
まとめ|その違和感、構造が原因かもしれません
エアコンを上げても寒い部屋。
夏も冷えにくい部屋。
それは、
住み方や設備の問題ではなく、建物構造の問題
かもしれません。
黒カビが出る前に現れる
オレンジ色のシミや結露跡は、
見逃してはいけない初期サイン です。
次回は、
この状態で最初に起きる
「ヒートブリッジと錆」について、
もう一段深く解説します。
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