【プレモが解説】カビは「手で払えばなくなる」は大間違い!あなたの家を蝕む見えない脅威
2025/07/25
手で払っても雑巾で拭いても再発するカビという微生物の脅威
埼玉県上尾市の実績20年の防カビ工事専門業者プレモです。
酷暑が続く今年の夏ですが、皆さん如何お過ごしでしょうか?
今回は「床下のカビ」を少し違った角度から考えたいと思います。皆さんの参考になればと思っていますのでぜひ拝読いただければと思います。
皆さんは、ご自宅のどこかにカビを見つけた時、どのように対処されていますか?「ああ、カビが生えちゃったな。雑巾で拭けばきれいになるだろう」――そう思われる方が、きっとほとんどではないでしょうか。しかし、もしあなたがそう考えているなら、それは大きな誤解です。
カビは単なる汚れではありません。そして、その誤解が、大切な住まいを蝕み時には腐らせ、時には家族の健康を深刻に脅かす原因となることを、私は皆さんに強くお伝えしたいのです。
※写真は手で払うことが出来ない床下合板のカビです。
なぜ「手で払う」「拭き取る」だけではダメなのか?カビの恐るべき正体
カビは、私たちの目に見える表面的な部分だけが存在しているわけではありません。カビの本体は、木材や壁紙などの建材の内部に深く根を張る「菌糸(きんし)」と呼ばれる部分です。私たちが目にする黒い斑点や白い綿のようなものは、その菌糸が成長し、空気中に胞子をまき散らすために形成された「集合体」に過ぎないのです。
1.根が残る: 表面を拭き取っても、建材の奥深くに潜む菌糸は全く除去されません。まるで雑草の根を抜かずに茎だけを刈り取るようなもので、湿気や栄養源があればすぐに再生し、再び目に見える形で現れます。これが、何度もカビが再発する最大の理由です。
2.胞子をまき散らす: 拭き取る行為は、カビの胞子を空気中に大量に飛散させることになります。これらの目に見えない胞子は、風に乗って家中に広がり、まだカビが生えていない別の場所(家具の裏、壁の中、換気扇のダクトなど)に付着し、新たなカビの温床を作り出してしまうのです。
3.健康被害のリスク: 飛散したカビの胞子を吸い込むことは、私たちの呼吸器から体内に侵入し、アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎といったアレルギー症状を引き起こします。さらに深刻なケースでは、夏型過敏性肺臓炎のように、肺に炎症を起こす重篤な病気に繋がることもあります。特に、免疫力の低い赤ちゃんや小さなお子さん、高齢者にとっては、そのリスクは計り知れません。実際に、築わずか3ヶ月の家で、フローリングの通気口から漂うカビ臭に赤ちゃんが咳き込み、小児科医から「なんて家に住んでいるんだ!」とまで言われた事例も存在します。これは、カビ問題が単なる「汚れ」や「不快感」を超え、幼い命の健康を直接的に脅かす現実があることを、私たちに突きつけています。
カビは住まいを「腐らせる」:シロアリよりも見過ごされがちな、しかし同等に怖い存在
多くの人が「怖い」と認識しているシロアリは、木材を「食べる」ことで建物の構造を破壊します。その被害は建物の耐久性に直結するため、一般的にその危険性が広く認識されています。しかし、カビもまた、木材を「分解する」ことで、住まいを内部から腐らせ、構造的な強度を低下させる非常に恐ろしい存在なのです。※写真は床下の腐朽菌です。
カビ(真菌の一種)が繁殖している場所は、木材を腐らせる直接的な原因となる「腐朽菌」にとっても最適な環境です。腐朽菌は、木材のセルロースやリグニンといった成分を栄養源として分解し、木材を文字通りボロボロにしていきます。つまり、カビが発生しているということは、既に腐朽菌が活動を開始しているか、あるいは活動を開始する寸前の危険な状態にあることを示す「サイン」なのです。カビの繁殖が進行すれば、木材の耐久力は著しく低下し、建物の構造的な健全性を損なう可能性があります。これは、単に木材が黒ずむという見た目の問題に留まらず、家の土台や柱といった構造体が弱体化し、最悪の場合、耐震性にも影響を及しかねないという、非常に深刻な事態を意味します。
現代の住宅は、高気密・高断熱化が進み、外部からの空気の流入が制限される傾向にあります。これはエネルギー効率を高める一方で、適切な換気や湿気対策が施されていない場合、床下や壁内といった見えない空間に湿気がこもりやすくなるというリスクもはらんでいます。シロアリ対策は年々進化し、予防策も普及していますが、湿気によるカビや腐朽菌の発生は、現代の住宅においてシロアリ被害よりもはるかに高い確率で発生しているのが実情です。シロアリが怖いのは知っていても、カビがここまで建物に影響を及ぼすことを理解している人は、残念ながらまだまだ少ないのが現状です。
床下のような普段目にすることのない場所でカビが繁殖した場合、その被害はなかなか気づかれません。シロアリ駆除業者の無料点検で「カビが生えていますよ」と指摘されて初めて焦る方が多いのも、そのためでしょう。しかし、その時には既に木材の劣化が始まっている可能性が高いのです。
放置してはいけない「灰汁(あく)」の真実:無害ではない間接的な脅威
さて、ここまで床下のカビの恐ろしさについてお話ししてきましたが、カビ問題には、もう一つ見過ごされがちなサインがあります。それが、木材から滲み出てくる「灰汁(あく)」です。
建築会社やプレモのブログなどで、「木材から出る灰汁そのものは、人や建物に害をなさない」という情報を見かけることがあります。しかし、この認識には注意が必要です。確かに、灰汁そのものが直接的に人体に有害な物質を含んでいたり、建材を腐食させたりするわけではありません。この点において、灰汁そのものは無害です。
しかし、だからといって灰汁を放置して良いわけでは決してありません。灰汁が表面に滲み出ているということは、その木材が高い水分を含んでいる、あるいは過去に濡れた状態が長く続いていたという明確なサインなのです。カビや腐朽菌は、木材の含水率が20%を超えると活発に活動し始めます。灰汁が出ている時点で、既にその条件を満たしている可能性が高いのです。
そして、この灰汁の中には、糖分などの有機物が含まれています。これらは、カビにとって非常に良い栄養源となります。灰汁が出ている木材は、カビが繁殖しやすい「湿気」と「栄養」という二つの条件を同時に満たしている状態なのです。つまり、灰汁を放置するということは、単に見た目が悪いだけでなく、木材が湿潤状態にあることを放置し、カビや腐朽菌の繁殖を許容していることと同義です。灰汁がカビを呼び、カビが腐朽菌を呼び込むという負の連鎖が起こりやすくなります。灰汁抜きや灰汁洗いは見た目をきれいにするものですが、それだけでは根本的な湿気の問題は解決しません。見た目の問題よりも、その奥に潜むカビの浸食を止めることが何よりも優先されるべきなのです。
なぜ新築の「灰汁」は施主を激怒させるのか?:築年数と場所で変わる認識のギャップ
ここで、皆さんに疑問が浮かぶかもしれません。「押入れのベニヤ板に灰汁が出ても、そこまで大騒ぎしないのに、なぜ新築の床下で灰汁やカビが出ると、施主は激怒し、中には建て直しを要求するほどになるのか?」
この違いは、「期待値」「投資額」「健康への影響」「信頼関係」「見えない部分への不安」といった、複合的な要素が絡み合っているためです。
1.新築への高い期待と完璧主義: 注文住宅は、施主様にとって人生最大の買い物であり、夢の結晶です。何千万円もの大金を投じ、何ヶ月もかけて打ち合わせを重ね、ようやく形になる「新築」には、完璧な品質と、一切の瑕疵がないことが期待されます。そんな真新しい家で、引き渡し前に、あるいはわずか数ヶ月でカビや灰汁といった「汚れ」や「欠陥のサイン」が見つかることは、その期待を根底から裏切る行為に他なりません。押入れのベニヤ板であれば「古いから仕方ない」と諦めがつくかもしれませんが、新築ではそれが許されないのです。
2.莫大な投資額と資産価値への影響: 新築住宅は、単なる住まいではなく、家族の将来を支える重要な資産です。カビや灰汁が示す湿気の問題は、建物の耐久性や構造的な健全性への懸念に直結します。もし、初期段階から問題があるとなれば、将来的な修繕費用がかさむだけでなく、売却時の資産価値にも大きく影響します。施主様は、この莫大な投資が最初から「不良品」であったかのように感じ、強い憤りを感じるのです。
3.健康への直接的な脅威(特に子供): 灰汁やカビの存在は、床下が高湿度の環境にあることを示します。この環境は、カビの胞子を大量に発生させ、それが室内に侵入することで、幼い子供の健康に直接的な悪影響を及ぼすリスクを高めます。前述の「赤ちゃんが咳き込んだ事例」のように、家族の健康が脅かされるという現実は、施主様の不安と怒りを極限まで増幅させます。
4.建築会社への信頼失墜: 建築中の木材が雨に濡れたり、乾燥が不十分だったりして灰汁やカビが発生することは、建築会社のずさんな施工管理や、品質への意識の低さを示唆します。施主様は、一生に一度の家づくりを託した建築会社に対し、深い不信感を抱くようになります。特に、問題を隠蔽しようとしたり、安易な対応で済ませようとしたりする姿勢が見えた場合、信頼関係は完全に崩壊し、「こんな会社に任せていては、まともな家が建たない」と判断し、工事の停止や建て直しを要求する事態に発展することもあるのです。
5.「見えない部分」への不安: 床下は、一度完成すると施主が日常的に目にすることのない場所です。そこに問題があるとなれば、「見えないところで何が起きているのか」「他に隠された欠陥はないのか」という強い不安と疑念が生じます。この「見えない」がゆえの恐怖が、施主の不信感をさらに募らせる要因となります。※プレモは建築中・竣工前・竣工後と3回の床下点検が必要だと思われる注文住宅を数多く見て来ましたので、建築中雨に濡れた新築住宅が心配な時は、床下点検を3回行っても不思議ではありません。
これらの複合的な要因が重なることで、新築住宅における灰汁やカビの問題は、単なる「汚れ」や「軽微な不具合」では済まされない、施主様にとっての「大問題」となるのです。
プロの「カビ取り作業・殺菌消毒」がなぜ必要なのか?その複雑な工程と現場の苦悩
では、カビが深く根を張ってしまった場合、どのように対処すべきなのでしょうか?私が専門とする「カビ取り作業・殺菌消毒」は、単に薬剤を吹き付ければ良いという簡単な話ではありません。そこには、カビの特性と建材の性質を熟知した専門的な知識と、時間と手間を惜しまない緻密な作業が求められます。
1.根本原因の特定と改善: まず、なぜカビが発生したのか、その根本原因(雨漏り、結露、換気不足、木材の初期含水率の高さなど)を徹底的に特定します。原因を取り除かなければ、どんなに完璧な防カビ工事を行っても再発は避けられません。これは、まるで病気の治療において、症状だけを抑えるのではなく、病原を突き止めて根本から治すことに似ています。
2.専門薬剤による深部殺菌: 市販のカビ取り剤では届かない、木材の奥深くに潜むカビの菌糸までを死滅させるため、専門の水溶性薬剤を使用します。この薬剤を建材にしっかりと浸透させることが重要です。水溶性であるため、木材の繊維の奥まで薬剤成分を行き渡らせることが可能になります。
3.徹底した乾燥: 薬剤を浸透させた後、最も重要かつ困難なのが「乾燥」です。水溶性薬剤は、水分が蒸発することで有効成分が建材内に定着し、防カビ効果を発揮します。しかし、雨に濡れた木材や合板は、単に放置するだけではなかなか乾燥しません。かといって、昔のように急激な強制乾燥を行うと、木材が収縮してひび割れや反りを起こし、構造用合板の接着剤が剥がれてしまうといった建材を傷めるリスクがあります。また、急速な強制乾燥は配管などの設備にも影響を与える可能性があります。そのようなことが発生しないように現在、プレモでは乾燥促進薬剤を混入させることで、木材や合板内部の水分が効率的に蒸発するよう促し、乾燥速度を高めています。床下のような閉鎖空間では、この薬剤による乾燥促進が非常に重要な役割を果たします。しかし、それでも乾燥には通常の工期の3倍近い時間がかかることもあり、工事関係者から嫌がられることも少なくありません。特に、数字ばかりを気にする現場監督からは、「まだ乾燥していませんね」と言われ、乾燥させることの難しさを知ればそのような発言は出て来ないのですが、自分たちの作業が問題になると思われるとまたクレームが再燃するので、責任転嫁を言って来る人が実に多いのが建築中建築後に発覚した床下合板カビだったりします。正直、カビを放置し続けた責任を棚に上げてとんでもないことを言って来るものだと困惑することが良くあります。それでも、この手間と時間を惜しむと、カビの再発リスクが大幅に高まってしまうのです。※写真は竣工後の床下基礎断熱工法構造用合板防カビ工事後です。
4.再発防止と環境改善: 乾燥後、必要に応じて防カビコーティングを施し、カビが再繁殖しにくい環境を整えます。また、床下の換気状況や湿気対策についても改善提案を行い、長期的な安心を提供します。これは、単にカビを除去するだけでなく、その後の健康な住まいを維持するための総合的なアプローチです。
賢い家づくりのために:施主様が知るべきこと、行動すべきこと
私が専門とする防カビ工事は、幸いなことに『日経ホームビルダー』という建築専門誌に2度も取り上げていただく機会に恵まれました。その掲載をきっかけに、全国各地の、特に地方の工務店さんから床下防カビ工事のご依頼をいただくようになりました。雑誌を定期購読し、最新の建築情報にアンテナを張っているはずの彼らでさえ、深刻なカビ問題に直面し、専門家の手を必要としているという現実は、私にとって大きな驚きであると同時に、カビ問題の根深さを改めて痛感させられるものでした。
これは、メディアに掲載される情報だけでは見えにくい、建築業界が抱えるカビ問題の真の姿を浮き彫りにしています。多くの建築会社は、カビの発生メカニズムや適切な対処法について、必ずしも十分な知識や経験を持っているわけではありません。特に、高気密・高断熱化が進む現代の住宅において、湿気管理の難しさは増しており、従来の常識だけでは対応しきれないケースが頻発しています。
雑誌で私たちの防カビ技術が紹介されたことで、自社の抱えるカビ問題に直面し、専門家の必要性を感じた工務店さんが、私たちに助けを求めてくださったのです。このことは、カビ問題がどれほど広範囲にわたり、専門的な知識と技術が求められるかを示す証左と言えるでしょう。
特に、建築中の注文住宅におけるカビ問題は、施主様にとって非常に悩ましい問題です。建築会社が指摘を相手にしてくれない、あるいは対応を渋ることで、工事が止まってしまう建築中住宅がいくつも存在するという現実があります。夢のマイホームが、完成を目前にして暗礁に乗り上げてしまうのは、想像を絶する苦痛でしょう。このような事態を避けるためにも、以下の点を強く意識してください。
・「見えない部分」にこそ目を光らせる:床下や壁の中、屋根裏など、完成したら見えなくなる部分の施工状況を、積極的に確認しましょう。可能であれば、写真や動画で記録を残すことも有効ですし、木材から灰汁が滲み出ている場合は、それは湿潤のサインであることを認識してください。雨の日の養生状況や、木材の保管方法なども注意深く観察してください。特に、基礎断熱工法を採用している場合は、床下空間が密閉されるため、初期段階での湿気対策が極めて重要になります。
・質問を恐れない:建築会社に対し、湿気対策、換気計画、使用する木材の含水率基準、施工時の乾燥方法、万が一カビが発生した場合の保証内容などについて、納得いくまで質問し、書面での明確な説明と確約を求めましょう。曖昧な返答や、質問をはぐらかすような対応には注意が必要です。具体的な数値やデータに基づいた説明を求める姿勢が大切です。
・建築会社が対応しない場合の最終手段を知る: 残念ながら、カビ問題を指摘しても建築会社が真摯に対応してくれない、あるいは工事を止めてしまうケースも少なくありません。特に、**地方に行けば行くほど、建築会社との関係性が強く、施主様が「逆らえない」と感じてしまう状況も多く見受けられます。**しかし、このような場合でも決して諦めないでください。住宅紛争審査会や弁護士、消費者センター、あるいは住宅専門の第三者機関など、外部の専門家や公的機関に相談し、法的な助言や紛争解決の支援を求めることが重要ですし、実際に工事が止まるという最悪の事態を避けるためにも、問題が深刻化する前に、これらの選択肢があることを知っておきましょう。
・メディア情報に惑わされない:有名誌に掲載されているからといって、無条件に信用せず、その建築会社の実際の施工実績、過去の施主からの評判、そしてカビ・湿気対策への具体的な取り組みを深く掘り下げて確認しましょう。できれば、完成後数年経過した物件の床下など、見えにくい部分の維持管理状況を見せてもらうのも良いでしょう。第三者機関による評価や認証の有無も確認ポイントです。
・不安を感じたら専門家へ:少しでも異変や不安を感じたら、迷わず第三者の建築士やホームインスペクター、防カビ工事専門業者に相談することを検討してください。彼らは客観的な視点から状況を診断し、適切なアドバイスを提供してくれます。早期発見・早期対応が、被害を最小限に抑える鍵となります。
注)建築系の第三者はカビ対策などの視点が違うことがありますので、状況によってはプレモのような防カビ工事専門業者に相談することをお勧めします。
カビ問題は、決して他人事ではありません。あなたの家と家族の健康を守るために、今一度、床下の状況に目を向け、適切な知識と行動で、安心できる住まいを手に入れてください。一人で抱え込まないようにしましょう。困った時は、プレモまで相談ください。
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◆床下防カビ工事(建築中注文住宅の木材防カビ工事含む)
埼玉・東京(島しょ部除く)を中心に千葉や神奈川に対応しています。
■戸建住宅床下は、床下高40cm以上・床下点検口や床下収納があり45cm角以上あれば対応可能です。
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